Mastercard為替レートがVISAやJCBより良い時代は終了(2019年4月調査)
VISA、マスターカード、JCB、アメックス。これら「国際ブランド」って、どれを選べばいいか、迷いますよね。
選び方の一つのポイントとなるのが、両替レート(≒為替レート)の違いです。VISA、マスターカード、JCB、アメックスは、それぞれ独自のレートを使っています。そして、その独自のレートは、
します。2017年くらいまでは、「マスターカードの為替レートが他より1%ほどお得」だったのですが、もうマスターカードのレートが良い時代は終わり。VISA、マスターカード、JCBともに上乗せ率(=為替手数料率)が、かなり変化しています。
このページでは、最新の両替レートのデータ(2019年4月の30日間と、2018年4月の30日間)を元に、VISA、マスターカード、JCBで、どの通貨ではどれがお得なのか、分析します。
※アメックスは両替レート非公開なので比較に入れていません。ちまたでは、アメックスの両替レートはそんなに良くないと言われています。
目次
- 1 先に結論
- 2 アメリカ(米ドル)の両替レートはJCB/VISA/マスターで大差なし
- 3 ユーロの両替レートでもJCB/VISA/マスターで大差なし
- 4 台湾ドルの両替レートではVISAが1位。マスターが2位、JCBは最悪
- 5 中国元の両替レートでは、マスターとVISAが接戦、JCBは3位
- 6 マレーシア・リンギットの両替レートでは1位JCB、2位マスター、3位VISA
- 7 フィリピン・ペソはマスターとVISAで大差なし
- 8 オーストラリア豪ドルの両替レートは1位JCB、2位マスター、3位VISA
- 9 韓国ウォンの両替レートは、マスターの勝ち。JCBは判定不能
- 10 シンガポール・ドルの両替レートは1位JCB、2位マスター、3位VISA
- 11 イギリス・ポンドの両替レートは異色。唯一マスターがダメな場所
- 12 カナダ・ドルの両替レートも差が大きい。1位JCB、2位マスター、3位VISA
- 13 タイ・バーツの両替レートも差が大きく注意。1位マスター、2位JCB、3位VISA
- 14 ベトナム・ドン両替レートはマスターとVISAで大差なし
- 15 香港ドル両替レートは小さな差で1位JCB、2位マスター、3位VISA
- 16 まとめ
先に結論

最新の傾向をまとめると、↓こんな感じです。
● (英ポンドだけはダメ)
●JCBは、レートが良い通貨と悪い通貨の差が激しい
●VISAで損しないのは、米ドル、ユーロ、中国元、台湾ドル、ベトナムドン、フィリピン・ペソ
2018年調査に引き続き、2019年も、3者混戦となりました。「両替レートは、マスタカードが良い」という時代は完全に終わりましたね。
レート差の平均は「2018年 0.32%」から「2019年 0.18%」に減少。米ドルやユーロなど、レート差の小さい通貨は、もうあまりMaster/JCB/VISAの違いを気にしなくてよくなってきていると言えます。
Master/JCB/VISAのレート差は小さくなってきている
調査した通貨の中で、中国元以外の通貨すべてで、レート差が小さくなっていました。
●アメリカ米ドル 0.24%→0.05%
●ユーロ 0.21%→0.03%
●台湾ドル 0.31%→0.30%
●中国元 0.35%→0.38%
●マレーシア・リンギット 0.38%→0.20%
●フィリピン・ペソ 0.54%→0.02%
●オーストラリアドル 0.33%→0.18%
●韓国ウォン 0.15%→0.15%
2019年新しく調べた通貨のレート差
●シンガポール・ドル 0.18%
●イギリス・ポンド 0.26%
●カナダ・ドル 0.30%
●タイ・バーツ 0.33%
●ベトナム・ドン 0.02%
●香港ドル 0.09%
では、ここからは通貨ごとに見ていきます。↑上の通貨名をクリックすると下の通貨ごとの解説に飛びます。
両替レート比較グラフの注意点
データは、それぞれ、VISA公式サイト、マスターカード公式サイト、JCB公式サイトから取ってきたデータを元に作成しています。
上乗せ率を計算するための基準レートは、EXCHANGE-RATES.ORGさんの過去レートを使わせていただきました。
優劣は、30日間の上乗せ率の平均値で判定。(※マスター・JCBとのズレ調整のため、VISAのレートは1日後の日付のものを比較に使用しています)
基本的に、VISA、マスターカード、JCBの3つで比較していますが、JCBは「小数点第3位以下を切り捨てたデータ」しか公開していないので(涙)、1通貨の価格が安いベトナム・ドン、韓国ウォン、フィリピン・ペソでは計測不能として諦めました。(JCBさん、もっと下のケタまで公開してください!!)
アメリカ(米ドル)の両替レートはJCB/VISA/マスターで大差なし
アメリカの通貨ドルでは、2018年はJCBが他より良かったのですが、2019年ではJCB/VISA/マスターで3者とも差がなくなっています(差は0.05%)。
ユーロの両替レートでもJCB/VISA/マスターで大差なし
ヨーロッパの通貨ユーロでも、2018年に良かったのはJCB。でも、2019年では、JCB/VISA/マスターで3者とも差がなくなりました(差は0.03%)。
台湾ドルの両替レートではVISAが1位。マスターが2位、JCBは最悪
台湾ドルが使われる台湾は、JCBのレートが最悪な場所。これは2018年、2019年も同じでした。台湾は、JCBがわりと多くの店で使えるはずなのですが、レートは悪いのでご注意を(0.3%も差があります)。「台湾と中国(本土)は、JCBのレートは悪い」というのは覚えておきましょう。
台湾では、VISAとマスターカードのレートが良いです。比較すると、少しVISAが良いですね。
中国元の両替レートでは、マスターとVISAが接戦、JCBは3位
中国元(人民元)が使われる中国本土もJCBのレートが悪い場所。2018年同様、2019年もJCBは悪いです。マスターカードとVISAが接戦で、かろうじてマスターが1位。VISAが2位でした。「台湾と中国(本土)は、JCBのレートは悪い」です。
中国本土は、今回調査した通貨の中で一番レート差が大きかった(0.38%)場所。JCBを使うのは、できるだけ避けましょう。
マレーシア・リンギットの両替レートでは1位JCB、2位マスター、3位VISA
マレーシアの通貨リンギットのレートでは、JCBが強さを見せ、1位。「1位JCB、2位マスター、3位VISA」という順位は、2018年と同じでした。マレーシアでVISAは損する確率が高いですね。
フィリピン・ペソはマスターとVISAで大差なし
フィリピンの通貨ペソは、VISAとマスターで、あまり差がありませんでした。
JCBはデータが少ないため調査不能。2018年のレート差が大きかったのは、JCBのデータを含めてしまっていたからです。JCBのペソデータは当てになりません。ごめんなさい。
オーストラリア豪ドルの両替レートは1位JCB、2位マスター、3位VISA
オーストラリアの通貨「豪ドル」では、2019年は2018年と同じ結果に。1位JCB、2位マスター、3位VISAです。ここでもVISAは、あまり選びたくないですね。
韓国ウォンの両替レートは、マスターの勝ち。JCBは判定不能
韓国の通貨ウォンでも、2019年は2018年と同じ結果で、マスターカードの圧勝。JCB公開レートが小数点の切り捨てが上すぎて使い物にならないので、VISAとマスターのみで比較しています。
シンガポール・ドルの両替レートは1位JCB、2位マスター、3位VISA
シンガポールドルは、2019年初調査でしたが、1位JCB、2位マスター、3位VISAとなりました。ここシンガポールでもVISAレートはイマイチ。
イギリス・ポンドの両替レートは異色。唯一マスターがダメな場所
イギリス・ポンドも2019年初調査でしたが、他とは一番違う結果に。1位JCBが飛び抜けて良く、2位VISA、3位マスターカード、と、マスターが珍しく最下位です。
マスタカードは、全体的にレートが良いのですが、イギリスでだけは良くない。これは覚えておきましょう。1位のJCBと3位のマスターの差は、0.26%と大きいので注意しておきたいですね。
カナダ・ドルの両替レートも差が大きい。1位JCB、2位マスター、3位VISA
カナダドルもJCB/Master/VISAの差が「0.3%」と大きいので注意したいところ。順位は、ダントツ1位JCB、次に2位マスター、3位VISA、という感じ。
VISAをカナダで使うと、平均0.43%も上乗せされてしまうので注意しましょう。
タイ・バーツの両替レートも差が大きく注意。1位マスター、2位JCB、3位VISA
タイ・バーツは、今回調査した通貨の中で、2番目にJCB/Master/VISAの差が大きかった通貨(その差0.33%)なので、注意必須。
しかも、マスターカードだけが飛び抜けてお得で、VISAとJCBが両方よくありません。タイ旅行のときは、マスターカード一択ですね。
ベトナム・ドン両替レートはマスターとVISAで大差なし
ベトナム・ドンも、JCBレートが判定不能で、VISAとマスターカードの2者の比較。両者で大差はありません。
香港ドル両替レートは小さな差で1位JCB、2位マスター、3位VISA
香港ドルは、3者の差0.09%と小さいので、そんなに気にしなくてもいいかもしれません。一応、順位は、1位JCB、2位マスター、3位VISAとなりました。
まとめ
● (英ポンドだけはダメ)
●JCBは、レートが良い通貨と悪い通貨の差が激しい
●VISAで損しないのは、米ドル、ユーロ、中国元、台湾ドル、ベトナムドン、フィリピン・ペソ
世界中のいろいろな場所を旅する人なら、一番良い方法は、「マスターのカードを1枚持っておき、イギリスに行くときだけは別カードで支払うようにする」という感じでですね。
特定の国での利用が多い人は、その国の通貨に合わせてMaster/JCB/VISAから選択するのが良いと思います。
あと、↑このMaster/JCB/VISAのレートだけで、お得なカードが決まるわけではありません。
●海外でのショッピング利用でのカード払いの場合は、この両替レートにプラスして、カード会社ごとの海外手数料(0〜3%)がかかります。その海外ショッピング手数料の比較の記事はこちら。
●海外ATM引出し(=海外キャッシング)の場合は、この両替レートにプラスして、利息など(0%〜3%)がかかってきます。その海外キャッシング手数料比較はこちら。
最近のイチオシカードは、↓こちらのカードです。
上海は、今一番いい季節で、とても暮らしやすいです!!
私は昔大学生のときは外国為替論のゼミを 専攻していたので、とてもおもしろく見せていただきました。
為替は生き物なので、今後も変化していくと思いますね。
3ヵ月後には、ご指導いただいたとおり、残り3ヶ月の海外旅行保険を有効にする方法を実行する予定です。
是非、ご報告したいと思います。
PS.たぶん保険を利用する予定はないと思いますが、併せてご報告したいと思っています。
上海で利用するのは、どのカードがお奨めでしょうか?
ひっしゃんさん、コメントありがとうございます!カード付帯保険だけではなく、こちらの外貨両替でもクレジットカードは便利ですので、ぜひ上手に使ってみてください!
ひっしゃんさんに言われて気づきました、中国元を入れてなかったですね(笑)。中国元のグラフを、今、上に追加しておきましたので、参考にしてみてください!どのカードが良いか?については、カード比較表で書いているように、セディナカードが良いので、結論としては、中国ならセディナのマスターカードが良いです!保険付きのセディナカードクラシックでもOKです。
クレジットカードでは大きな差は出なくても、デビットカードでは
VISAとマスターの差が意外とあったりしますねぇ。
まぁ、今時はマスター系デビットだとデメリットが目立つので、普通は
VISAで作るでしょうけど…
ちなみにドル決済での利用なら、ソニーのデビット(VISAのみ)だと手数料は
VISAやマスターの1/10で済みますし、住信SBIならVISA限定で年間30回まで
無料になったりします。
名無しさん、コメントありがとうございます!
「デビットカードでのVISAとマスター差」って、何なんですか?私、恥ずかしならが、全然知りません。よかったら教えてください。「マスター系デビットのデメリット」というのも、よくわからないです。
ソニー銀行のデビットカード「ソニーバンクウォレット」は、たしかに良いですよね。住信SBIは、あまり使ったことがなかったのですが、年間30回まで無料なら良いですね!(ただ、ドル限定なんですね) 住信SBIのレートを見たところ、米ドルの両替手数料も良いですね(1ドルにつきソニー銀行は0.15円、住信SBIは0.04円)。米ドルメインで、年30回以下なら住信SBIも十分にアリですね。情報、ありがとうございます!!
のむてつ様、
極めて貴重な情報、ありがとうございます。
お訊ねいたします。
ご教示いただけますと幸いです。
記事中の、ブランド別上乗せレート表ですが、
ロシアルーブルとマカオパタカが無いようです。
もしお分かりでしたらご教示ください。
よろしくお願いいたします。
たびとさん、コメントありがとうございます。こちらのデータですが、それぞれ、VISA公式サイト、マスターカード公式サイト、JCB公式サイトから、1日1日を1ヶ月分、それぞれの通貨のデータを取ってきて作成しています。
結構、手間と時間がかかるため、ある程度、海外旅行地として人気のある場所の通貨をピックアップして調査しました。
ロシアルーブルとマカオパタカは、申し訳ないですが、ご自分で上記サイトからデータを取って、見ていただけないでしょうか?そうすれば、最新のデータも取れますので。
ご返事ありがとうございます。
なるほど。大変な作業なのですね。
了解しました。