※2021年11月のデータを追加しました!
最初にお断りを。外貨建てでクレジットカード支払いをする場合、かかる手数料は↓下の2種類。
手数料①:VISA,JCB,マスターカードなどの「国際ブランド」の為替レートへの上乗せ
手数料②:カード発行会社(例 楽天,エポス)が取る「海外ショッピング手数料」
このページの記事は、↑この①の「国際ブランドのレート上乗せ」を比較・分析した記事です。(②に関しては、こちらの記事で比較しております。⇒海外ショッピング手数料比較)
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VISA、マスターカード、JCB、アメックス。これら「国際ブランド」って、どれを選べばいいか、迷いますよね。
選び方の一つのポイントとなるのが、為替レート(≒両替レート)の違いです。VISA、マスターカード、JCB、アメックスは、それぞれ独自のレートを使っています。つまり、ニュースなどに流れる「1ドル=110円」という基準レートに、それぞれ独自に上乗せ分を決めて独自のレートを作っています。イメージとしては、↓こんな感じ。
基準レート 1ドル=110円 のとき
VISAレート 1ドル=110.5円
Masterレート 1ドル=110.4円
JCBレート 1ドル=110.3円
AMEXレート 1ドル=110.8円
そして、その独自のレートは、
します。主要な通貨で見た場合、↓このように変化しています。
●2018年〜2019年:VISA,Master,JCBの差は縮小へ
●2021年 ←今回の調査。また違う結果になりました(汗)
マスターカードが一番レートが良かった時代は、すでに終わっています。
このページでは、最新&過去の為替レートのデータ(2021年11月の30日間と、2019年4月の30日間、2018年4月の30日間)を元に、VISA、マスターカード、JCBで、どの通貨で、どれがお得なのか、を分析していきます。
※アメックスは両替レート非公開なので比較に入れていません。ちまたでは、アメックスの両替レートはそんなに良くないと言われています。
- 1 先に結論
- 2 アメリカ(米ドル)為替レート比較。1位JCB、2位マスター、3位VISA
- 3 ユーロ為替レート比較ではJCB/VISA/マスターは大差なし
- 4 台湾ドル為替レート比較は1位VISA、2位マスター、JCBは最悪
- 5 中国元の為替レート比較ではマスターとVISAが接戦、JCBは3位
- 6 マレーシア・リンギット為替レート比較は1位JCB、2位マスター、3位VISA
- 7 フィリピン・ペソの為替レート比較は1位JCB、2位VISA、3位マスター
- 8 オーストラリア豪ドルの為替レート比較は1位JCB、2位マスター、3位VISA
- 9 韓国ウォン為替レート比較は1位マスター、2位VISA、3位JCB
- 10 シンガポール・ドル為替レート比較。1位JCB、2位マスター、3位VISA
- 11 イギリス・ポンドの為替レート比較は異色の結果。マスターカードが惨敗
- 12 カナダ・ドル為替レート比較。差が大きく1位JCB、2位マスター、3位VISA
- 13 タイ・バーツの為替レート比較。VISA/JCB/マスターの差が小さくなった
- 14 ベトナム・ドン為替レート比較。マスターとVISAで大差なし
- 15 香港ドル為替レート比較は小さな差で1位JCB、2位VISA、3位マスター
- 16 インドネシア・ルピア為替レート比較は、マスターとVISAで大差なし
- 17 まとめ
先に結論

最新の傾向をまとめると、↓こんな感じです。
● (ただし台湾・韓国・中国はダメ)
●VISAとMasterはほぼ同じ。(ポンドとペソはMasterがダメ)
●全体的に、国際ブランドの上乗せは増加傾向(+0.2%〜0.3%)
●上乗せが多い要注意通貨は、韓国ウォン、タイバーツ、加ドル、豪ドル
2018年と2019年はVISA/マスター/JCBの3者混戦でしたが、2021年はJCBが抜け出した感じ。ただ、JCBは実際の利用では海外で加盟店が多いのはハワイくらい。ということは、やはり、その他の国/地域では、VISAかマスターカードを準備したほうが良さそうです。
JCBは、海外通販など、JCBが使えることがわかっている店で使う、という形になりそうですね。
Master/JCB/VISAのレート差は再び拡大中
VISA,Master,JCBの3者のレートの差を全体的に見るために、14通貨で平均値を取ってみました。2019年には一旦、小さくなった差は、↓こんな感じで再び拡大していることがわかりました。
2018年 0.32%
2019年 0.18%
2021年 0.22%
特に、↓下記の通貨は、VISA/マスター/JCBの3者間の差が大きいので(0.25%以上)、国際ブランドをちゃんと選んでクレジットカードを使ったほうが得になります。
台湾ドル、フィリピンペソ、中国元、英ポンド、シンガポールドル、マレーシア・リンギット、カナダドル
では、ここからは通貨ごとに見ていきます。↓下の通貨名をクリックすると下の通貨ごとの解説に飛びます。
アメリカ米ドル ユーロ 台湾ドル 中国元 マレーシア・リンギット フィリピン・ペソ オーストラリアドル 韓国ウォン シンガポール・ドル イギリス・ポンド カナダ・ドル タイ・バーツ ベトナム・ドン 香港ドル インドネシア・ルピア
両替レート比較グラフの注意点
データは、それぞれ、VISA公式サイト、マスターカード公式サイト、JCB公式サイトから取ってきたデータを元に作成しています。
上乗せ率を計算するための基準レートは、EXCHANGE-RATES.ORGさんの過去レートを使わせていただきました。
優劣は、30日間の上乗せ率の平均値で判定。(※マスター・JCBとのズレ調整のため、VISAのレートは1日後の日付のものを比較に使用しています)
基本的に、VISA、マスターカード、JCBの3つで比較していますが、JCBは「小数点第3位or第4位以下を切り捨てたデータ」しか公開しておらず、切り捨て部分は値が小さくなるので補正しています。1通貨の価格が安いベトナム・ドン、インドネシア・ルピアでは比較データとして使えるレベルではなかったため計測不能として諦めました。(JCBさん、もっと下のケタまで公開してください!!)
アメリカ(米ドル)為替レート比較。1位JCB、2位マスター、3位VISA
アメリカの通貨ドルでは、2021年はJCBが一番お得。2019年はJCB/VISA/マスターで3者差が無かったのですが、JCBが2018年のように再びがんばり始めた模様。特にJCB加盟店の多いハワイなら、JCBを用意しておくとお得です。
ユーロ為替レート比較ではJCB/VISA/マスターは大差なし
ヨーロッパの通貨ユーロは、2019年に引き続き、JCB/VISA/マスターで3者の差ほぼナシ。どの国際ブランドを選んでも変わらない感じです。
台湾ドル為替レート比較は1位VISA、2位マスター、JCBは最悪
台湾ドルが使われる台湾は、JCBのレートが最悪な場所。これは2018年、2019年、そして2021年も同じでした。台湾は、JCB加盟店がわりと多いはずなのですが、レートは悪いのでご注意を(0.3%も差があります)。「台湾、中国、韓国は、JCBのレートは悪い」というのは覚えておきましょう。
台湾では、VISAとマスターカードのレートが良いです。比較すると、少しVISAが良いですね。
中国元の為替レート比較ではマスターとVISAが接戦、JCBは3位
中国元(人民元)が使われる中国本土もJCBのレートが悪い場所。2018年、2019年同様、2021年もJCBは悪いです。マスターカードとVISAが接戦で、かろうじてVISAが1位。Masterが2位でした。「台湾と中国(本土)と韓国は、JCBのレートは悪い」です。
マレーシア・リンギット為替レート比較は1位JCB、2位マスター、3位VISA
マレーシアの通貨リンギットのレートでもJCBが強さを見せ、1位。「1位JCB、2位マスター、3位VISA」という順位は、2018年、2019年と同じでした。ただ、VISAとマスターカードの差は、かなり小さくなっています。
フィリピン・ペソの為替レート比較は1位JCB、2位VISA、3位マスター
フィリピンの通貨ペソの為替レートは、1位のJCBと2位のVISAの差がほぼ無し。3位のマスターカードだけがかなり悪いレートになっています。
「VISAとマスターの差が大きい」のは、2021年ではフィリピンとイギリスだけに見られる現象です。フィリピンでは、できるだけVISAカードを使うほうが得です。
オーストラリア豪ドルの為替レート比較は1位JCB、2位マスター、3位VISA
オーストラリアの通貨「豪ドル」では、2021年は、2019年&2018年と同じ結果に。1位JCB、2位マスター、3位VISAです。
JCBが使える店ではJCBで支払うと得。JCBが使えない店でVISAかマスターどちらを使うかは、レートはほぼ同じなので、どちらでもいいでしょう。
韓国ウォン為替レート比較は1位マスター、2位VISA、3位JCB
韓国の通貨ウォンの為替レートは、台湾、中国と同じく、JCBがダメな場所。1位マスター、2位VISA、3位JCB、という順位になりました。ただし、マスターとVISAのレート差は小さいです。
韓国ウォンは、今回調査した15通貨の中で一番上乗せが多い通貨でした。最低でも0.7%も上乗せされます(涙)。
シンガポール・ドル為替レート比較。1位JCB、2位マスター、3位VISA
シンガポール・ドルの為替レート比較は、2019年の結果と同じで、1位JCB、2位マスター、3位VISAでした。ただ、VISAとマスターの差は、2019年より小さくなっています。
イギリス・ポンドの為替レート比較は異色の結果。マスターカードが惨敗
イギリス・ポンドは、他とは一番違う結果に。1位JCBと2位VISAが飛び抜けて良く、3位マスターカードのレートがかなり悪いです。そして実はこの順位は2019年と同じ。
全体的にレートが悪くないマスターカードですが、イギリスとフィリピンでだけは良くありません。これは覚えておきましょう。
イギリスは、今回調査した通貨の中で、VISA/マスター/JCB、3者のレート差が一番大きかった場所です。その差は0.43%。マスターカードを使うのは、できるだけ避けましょう。
カナダ・ドル為替レート比較。差が大きく1位JCB、2位マスター、3位VISA
カナダドルもJCB/Master/VISAの差が「0.37%」と大きいので、支払いには注意したいところ。順位は、ダントツ1位JCB、次に2位マスター、3位VISA、という感じ。
カナダドルは、韓国ウォンに次いで2番目に、為替レートの上乗せが大きい通貨なので要注意。VISAだと平均で0.75%も上乗せがあります。
タイ・バーツの為替レート比較。VISA/JCB/マスターの差が小さくなった
タイ・バーツは、2019年調査ではVISA/JCB/マスターの差が大きい通貨だったのですが、2021年調査では差が小さくなり、3者がそんなに変わらなくなりました。
2019年はマスターカード利用がおすすめでしたが、2021年以降は、どの国際ブランドを使ってもいいですね。
ベトナム・ドン為替レート比較。マスターとVISAで大差なし
ベトナム・ドンは、小数点以下が小さすぎてJCBレートが判定不能だったので、VISAとマスターカードの2者の比較。結果、両者は大差なし。これは2019年と同じ結果でした。
香港ドル為替レート比較は小さな差で1位JCB、2位VISA、3位マスター
香港ドルは、VISA/JCB/マスター、3者の差が小さいです。これは2019年から同じ。一応、順位は、1位JCB、2位マスター、3位VISAとなりました。
インドネシア・ルピア為替レート比較は、マスターとVISAで大差なし
インドネシア・ルピアは、小数点以下が小さすぎてJCBレートは判定不能。VISAとマスターカードの2者を比較したところ、両者であまり差がありませんでした。
まとめ
● (ただし台湾・韓国・中国はダメ)
●VISAとMasterはほぼ同じ。(ポンドとペソはMasterがダメ)
●全体的に、国際ブランドの上乗せは増加傾向(+0.2%〜0.3%)
●上乗せが多い要注意通貨は、韓国ウォン、タイバーツ、加ドル、豪ドル
上手な使い方をまとめると、↓こうなりますね。
●使えるならJCBを使う(台湾、中国、韓国以外)
●JCBが使えないところでは、VISAかマスター。両者は大差ない
(イギリスとフィリピン以外)
●イギリスとフィリピンでは、マスターカードは使わない
あと、↑このMaster/JCB/VISAのレートだけで、お得なカードが決まるわけではありません。
●海外でのショッピング利用でのカード払いの場合は、この両替レートにプラスして、カード会社ごとの海外手数料(0〜3%)がかかります。その海外ショッピング手数料の比較の記事はこちら。
●海外ATM引出し(=海外キャッシング)の場合は、この両替レートにプラスして、利息など(0%〜3%)がかかってきます。その海外キャッシング手数料比較はこちら。
海外ATM引き出しでのイチオシカードは、↓こちらのカードです。